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原発事故が起こった。爆発を起こした原子力発電所を中心に、半径30kmは禁踏区へと変わってしまった。
それから九年。九年が経った。 海に面した境界で区切られ、禁踏区は円ではなく半月の形を成していた。通称、ハーフムーン。和也はそこで暮らしていた。 原発事故。契機。被曝。疎外感。双子の姉妹。シンクロニシティ。父親の失踪。母親の自殺。親戚との暮らし。離れ離れの双子。入れ替わり。殺害。裏切り。逃走。線。わが家。ハーフムーン。 傷痕と思い出。あるいは忘却と無きものへの追随。欠けた半月。欠けた半身。生きる術。生きる手段。命を摘む。その意味、意義。言い訳。偽り。明確な殺意。残酷さと優しさ。獲物をなぶる高揚。 惹かれるもの。死に場所。強い力。生きるための力。内と外。無関係な世界。爆弾魔。警告。刹那気を引き、黙殺されてしまう警告。反復される警告。反復される忘却。 無意識下の選択。拒否。選ばなかったための殺人。そのための鈍感さ。人殺しを隠すための。自らを騙すための。罪悪感は切り裂いていく。無意識を。意識しないはずの無意識を。 見つけたもの。少女。無邪気と無垢。殺すことへの躊躇い。力。強い力。守るための力。 ──誰もこの子を殺す立場じゃない。 仲間が殺された。復讐。復讐だ。殺し返す。殺す? 葛藤。躊躇と感情の均衡。殺したくない。守りたい。それだけ。それだけで──。 そして、結末。顛末。終末。 なんていうか、久々に重い作品を読みました。一つ一つのシーンが持つ意味。一貫したテーマ。あまりにも現実的すぎるフィクション。ただ圧倒されるばかりでした。 もう読んでもらわないと分からない、としか言いようがありません。自分は批評が下手くそなうえ、この作品を語るには色々力量不足だと痛感しました。 情景や過去、通称や象徴。それらがまとめて何かを暗示しているようでした。抽象的に、けれど粘りつくような確かさをもって、この作品全てをしての著者の『主張』は自分の中に重さを残しています。 もし関心と時間があれば読んでみる価値はあると思います。この作品を読むことで、きっと、何かしら得るものがあるはずですから。 作家ってすごいなあ……。 PR |
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