頭なのか体なのか

　そういえばムチャ企画に出す予定だった園児系コメディを執筆していた頃、なにかの参考になるかと思いあつめた「よつばと！」が思いのほか面白くて全巻衝動的に揃えてしまったわけですが、今日はそのよつばと！の話ではなくていわゆるアンパン○ンについての記事なわけです。



「僕のかおをお食べ！」ってさりげなく猟奇的というか軽くマゾッホ男爵はいった発言なわけですが、一体アンパンマンってどんな作りをしている生物なのだろうか。

自分のかおをもぎ取る行為もそれを平然と受け取って食すという行為もよくよく考えてみればカニバリズムくさいのですが、そんなことはどうでもいい。彼の生態を紐解くうえで重要なのはその後なわけです。

顔の断片を与えたあと、彼は良いことしてやったみたいに笑み浮かべつつ目元は×印と疲労ただよわせているわけですが、要するにバイキンマンとの喧嘩でも見られる風に、彼は『顔が欠ける、汚れる、濡れる』などすると力が出ないとか引きこもり初期みたいな弱音を吐き出します。

そしてバイキンマンに追い込まれて危機に陥ると、あのイチローでさえ打ち取るというバタコさん（←これ予測変換で出たんですが）の投球によって新しい顔に取り替えられパワーが復活バイバイキーンとお約束な流れを迎えるわけです。

問題はここからです

新しい顔はいい。だが吹っ飛ばされたその顔はそこら辺に転がっているわけです。仮にアンパンマンの本体が頭側にあるとすると「森の中に入るとぐちゃぐちゃになった首がそこら中に転げ落ちていて目が合うと追っかけてくる」とかカバオ七不思議みたいなホラー状態になりかねないわけです。

だって頭が本体な場合、頭だけなのに生きてるんですよ？　しかもあれって一応パンだから腐っていくし鳥たちもついばんでいくでしょうから１日経つともう見てられない感じなわけです。ていうか街のカバやウサギやらが平然としているとこみると「ああそういえば昨日、アンパンマンの残骸みたよ～。なんかうなってたけど」みたいな会話がなされてるんじゃないでしょうか。

しかしこの場合、頭が本体ではないと仮定したほうがすんなり納得がいきますかね。そうでなければアンパンマン大量発生ただし頭だけという新感覚ファンタジーワールドになりますからね。

　よくよく考えてみればアンパン以外で作った頭でも大概アンパンマンの性格や声を引き継いでいることからして、アンパンマンの本体は身体側にあるとみたほうがいいですね。

　しかしそうと前提条件を定めると「あれ？　アンパンマン頭いらなくね？」みたいになってくるわけで。
　それでも頭を付けてるのは絵的に首なしはいかんだろというあれなのかもしれないですが、個人的には「頭は燃料」説を推したいところ。たぶんあのアンコは石油みたいなもんじゃないんですかね。それを分け与えるアンパンマンってつまり確信犯で腹黒いというか。頭の中身は黒いからそうだな、うん。

　まあアンパンマンの出生方法＝アンパン焼いてるところに煙突から落雷、を考えてみても、かまどの中には初めはなかったであろう身体部分が本体なんでしょうね。
　あとよくみてみると『首だか腰だかのベルトにニッコリマークのバッチみたいなの』があるわけですが僕はあれがアンパンマンの正体なんじゃないかと睨んでます。

　あーやっぱ幼児向けアニメってものすごいロマンがあるなー。何気に秘密ありすぎの世界だし。そもそもなんでパン工場だけちょっと街から離れた丘にあるんだろ。さりげなく村八分なのかあれ。



　そういやバイキンマンの出生もなかなかワンダフォーなわけですが、あいつね、きっと根っからの悪じゃないと思うんですよ。
　いえいえ悪いことをしてきたのは事実ですがあんな辺境というか魔窟みたいなとこで生まれてしまえば誰だって寂しくなるわけですよ。でも幼い頃から一人で生活してきた彼には人との接し方など知る由もないんですね。
　つまり街の人たちに悪さをしたのは寂しさの裏返し。しかしアンパンマンが正義をかかげていきなり喧嘩ふっかけてきたために最早悪役のふりをし続けなければなくなったわけです。

つまりバイキンマンは、悲しい運命に翻弄されたツンデレだったわけですね……


　さて。僕がなぜこうも彼をかばってやるのかというと、いえね、彼のある一言で「分かってる。こいつはちゃんと分かってる……！」と感嘆したからです。
　かつて彼は、うな重の鰻だけを食べてご飯を残したドキンちゃんに言いました。

「このタレがかかったご飯がまたおいしいのに……」